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歯をテーマとした 歯小説 Resort Dream Storyシリーズ
by rdsteens

Page539~Chie's Core Treatment

前歯を抜歯した後、新しい部分義歯の仮歯を入れていた
智恵は、とある日の朝 歯を磨いていたのである。
もちろん 部分義歯を取り外し残されている歯を磨く。
残されている歯も殆どの歯は、すでに金属の土台が
入れられているだけの状態になっている。
それでも残されている部分をキレイに磨き上げると、
部分義歯を歯ブラシできれいに磨き上げてゆく。

智恵は、入れ歯を磨いている時、とても屈辱的な
感じがしていたのであった。
そしてキレイに磨き上げられた部分義歯を
大きな口を開けてしっかりと装着する。
智恵は、洗面台の鏡の前で大きく口を開けると
口の中を鏡に映し覗き込んでみた。
クラウンの形状になった人工歯や金属のバネで
部分義歯が支えられ、上あごいっぱいに広がっている
義歯床が目立つわ。 ふとそんな事を感じながら、
こんな歯になってしまったのも、安易な審美治療を
続けてきた事や、虫歯が多かった事が原因なのね。
口の中を見ても、虫歯を治療したというよりは、
失った部分を人工歯を入れて噛めるような状態に
してある という印象であった。

智恵は洗面台を出ると 支度を整えると、
部屋を出て、診療室へ向かう。 今日の午前中は
歯の治療の予約が入っていたのである。
エレベーターで階下へ降りると 歯科診療室へ入って行く。
受付を済ませて暫く待合室で待っていると、いつものように
智恵が呼ばれ診療室へ入り診療台へ座る。
衛生士の女性は、金属のトレイに治療器具を準備する。
そしてカルテの用意が出来た頃、先生がやってくる。
デンタルミラーを片手に検診を始めていた。
部分義歯が入れられたまま、口元を覗きこみ検診を始めると
先生は部分義歯を取り外す。 
残されている歯の中でも、金属の土台が入れられている部分の
検診を行うと、先生はドリルの準備を行っていた。

そして智恵に説明する。 小さな虫歯のある奥歯の土台の部分は
出来る限り歯質を残すためにも、土台を入れ替える事無く、
虫歯部分を削り取り、樹脂を詰めて補強する治療を行うと
説明を受ける。
そして、先生はドリルを智恵の口元へ入れると 奥歯に入れられている
金属の土台が入っている根元の歯質を削り始めていた。
先生は削りすぎないよう 注意深くドリルを当てて削ってゆく。
そしてつめやすいよう 形を整えると、樹脂を準備して 削り
穴の開いてしまった部分へ詰めてゆく。
樹脂を詰めた部分へ光をあてて硬化させてから、ドリルで樹脂の部分を
少しずつ削り形を整える。

先生は2本3本と同様の治療を繰り返してゆく。 智恵は削られても
神経を抜かれている奥歯に痛みはないものの、あちこちの奥歯の
残された歯質を削られ樹脂で詰められる。すでに金属の大きなコアが
入れられている土台を更に削られ樹脂が詰められているんだわ。
相当 歯が弱くなっていることを智恵は感じていたのであった。
奥歯の土台の治療を終えた智恵に、部分義歯を試着して
土台の形状に合わせて少しずつ部分義歯の調整を行っていた。
しっかりと合っていないと、義歯が安定しない。
しっかりと安定して装着されるよう調整されると、先生は
智恵の口元へ調整された部分義歯をしっかりと装着していたのである。

智恵の上顎の歯は、抜歯された歯 そして新しく土台を入れなおした歯
更に今回のように土台の虫歯を削り樹脂を詰めた歯の治療を終えていたのである。
先生は、次回から 新しいフルブリッジの作成を始める事を智恵に伝えると、
智恵はようやく、ブリッジになるのかしら?そんな期待を感じながら、
診療台を降りると診療室を後にしていたのであった。
# by rdsteens | 2012-05-27 21:24 | Trackback | Comments(0)

Page538~Akiko's New Teeth Impression

前歯へ新しい差し歯が入れられた亜希子は、それから数日がたっていた。
口元に輝く差し歯は、見た目もボリューム感があるものの、亜希子は、
今までとは違う感触を感じていたのである。
厚みもあり大きめの人工歯は 今までの差し歯よりも唇に当たっているような
気がするわ。少し前に出ているような感じの人工歯であったものの、
ある程度の厚みのある人工歯は、裏側にも厚みを感じていたのである。
先生は、裏側もある程度白い部分の面積を増やすために、金属の上から
セラミックでカバーしていると言っていたわ。
確かに、前歯4本の部分は根元まで殆どの部分は白く 金属は付け根の部分だけである。
ただ犬歯と小臼歯の部分は噛みあわせ部分も一部が金属で作られていて、
銀色に輝く部分が多いのよね。

そんな事を感じていた亜希子は、食事の時も少し気を使っていた。
元々治療中も先生は、抜歯されるかどうか?という状態の前歯を
何とか残せる部分だけを残し、土台で補強してから、人工歯も連結することで、
何とか強度を保っている状態だと言われていたのである。
当然 真っ白く美しい人工歯も強度はとても弱いはずだわ。
噛めないわけではないものの、柔らかいもの以外は噛まないようにしないと
いけないのね。亜希子は食事中も前歯へ気を使っていたのであった。

そして今日もいつものようにレストランへ行くと、すでに数人の仲の良い
ゲストがテーブルに座っている。治療を終えた亜希子は通常のメニューを
手渡されるものの、柔らかく食べやすそうなものを選んでオーダーする。
同じテーブルに座っているほかのゲストも、口元には人工歯が前歯から
奥歯まで並んでいるような治療を受けている。
決して歯の状態が良好ではないのであった。 それでも、普通になんでも
食べているわ。 亜希子は、そんなほかのゲストからも、大丈夫よ
普通に何でも食べられるわ。 そんな話をされ 大丈夫かな?
とも思ってしまう。
亜希子が頼んだひれかつが運ばれてくると、亜希子は試しに前歯で
比較的柔らかいとはいえ、厚みのあるお肉を前歯で噛み切って見る。
カリッとした衣は、前歯でしっかりと噛むことが出来るわ。
ちょっと口の中が狭い感じがする以外は、食事をしていても
何も問題は無いように思えていた亜希子は、他のゲストと話をしながら
楽しい夕食を食べていたのであった。

そして 仲間との話が歯の話題になると、今まで亜希子は他のゲストの
人達も差し歯を入れていると思っていたものの、すでに数本の歯を
抜かれているブリッジを入れている人が多い事に気がついていたのであった。
そして一番気になったのは、前歯4本が連結されているという女性であった。
亜希子よりも少し年下のかわいらしさが残るその女性の口元は、すべて
セラミックの歯が入れられているみたい・・・
元々 前歯は差し歯であり小臼歯が抜かれ犬歯を土台にして奥歯へ
ブリッジを入れていたらしい。
そして前歯2本を抜歯することになったその女性は、犬歯を前歯のブリッジの
土台に使う事が出来ないため、中央2本の歯を抜き、その横 側切歯2本で
4本の歯を支えるブリッジを入れたらしいわ。
確かに支える歯の本数も少なく、強度はとても弱そうに思える。
奥歯も頬側から見ると真っ白い歯になっていたものの、口を開けると
銀色の金属でギラギラと噛みあわせ部分が輝いている。

ちょっと私の歯って治療が変則的なのよね。
だから 強度がとても弱いはずだわ。それでも 何とか普通に食事は出来るけれど・・・
そんな事を話していたのであった。
その女性も亜希子の口元を見つめるととても美しい人工歯ね。
そういわれていたのである。 亜希子は犬歯と小臼歯は金属が目立つ事を
話しながら口を開けると、そんなものよ それでも前歯の裏側が白くて
うらやましいわ。あまり差し歯に見えないし・・・
新しい歯は、亜希子が思っていた以上に 他の人から見た いわゆる見た目が
とてもよく見えていたのである。 よくキレイな前歯だって言われるわ。
すでに強度は弱くなり普通に使う事が難しい前歯ではあったものの、
亜希子はちょっとうれしく思える瞬間であった。
# by rdsteens | 2012-05-27 14:44 | Trackback | Comments(0)

Page537~Chie's New Temporary

智恵は前歯の治療が始まり 抜歯を受けていた。
そのため 連結された差し歯を外され、一部の前歯は
抜歯され、残されている歯も、金属の土台だけの状態に
なっている。 智恵は真っ白い美しい人工歯が入れられていた
前歯も、人工歯を外してしまうと、口元には歯が無くなってしまう。
マスクをしていなければ、部屋から出られない状態だわ。
ふとそんな事を感じていたのであった。

しかし、そんな状態でずっと過ごすわけでもなく、
抜歯した翌日 智恵は前歯に仮歯を入れるため再び 診療室に
来ていたのである。 しばらく待合室で待たされていると、
仮歯ってやっぱりブリッジなのかしら?それとも奥歯まで
連結されたブリッジの仮歯へ全部入れ替えるの?
ふとそんな事を考えながら待っていると診療室へ通される。

診療台へ座って待っている智恵の所へ先生がやってくると
検診を行い 奥歯へ入れられている部分義歯の仮歯を取り外す。
抜歯部分の検診そして消毒を行うと、残されている前歯の
土台部分の治療を始める事を智恵に伝えていたのである。
今日から始めるんだぁ 智恵は仮歯を入れるだけだと
思っていたものの 先生からそう説明されると、智恵の歯は、
奥歯に比べ前歯の土台の虫歯の状態がとても悪い事を
聞かせられていたのである。
奥歯で残されている土台に大きな虫歯はなく、小さな虫歯が
再発している歯と、虫歯になっていない土台であった。
しかし 前歯の土台はかなり大きく虫歯にやられている。
出来る事ならこれ以上削りたくない根の部分も土台を取り外し
新しい土台を入れるために削る必要があったのである。

先生は、ドリルを手にすると、銀色の金属の土台が入れられている
部分を削って行く。天然歯質は可能な限り残すように
金属部分を削って行く。 そして根の奥まで差し込まれている
金属の土台を取り外すのである。
丁寧に金属コアを取り外すと、残されている歯質の虫歯に
侵されている部分を丁寧に削り取って行く。
そして、根の部分は再びきれいに整形されていたのであった。
根の奥には、充填材が詰められている。
以前 神経を抜いたときの治療であった。 先生は充填材を
取り除くとキレイな状態にしてから、再び充填材でしっかりと
根の部分を保護する。
そして整形された根の部分へ柔らかい状態のレジンを詰めてゆく。
途中 光をあてて硬化させると更にレジンを詰めてゆく。
そして、歯茎から上の部分まで土台の形を作ると再び光をあてて
しっかりと硬化させる。 最後に土台部分を削り形を整えると
智恵の前歯へ新しい土台が入れられていたのであった。

先生は、衛生士から石膏模型を受け取ると新しい仮歯を取り外し
智恵に見せる。
えっ? 智恵は一瞬 声が出ない。 だって智恵の目の前で見せられた
仮歯は完全に入れ歯である。しかも前歯から奥歯まで人工歯が入れられ
ピンク色の義歯床は、上顎全体を覆うような形であり、一部の歯を
被せて支えたりバネがあったりする部分入れ歯であった。
これが新しい仮歯? ブリッジではなく前歯も入れ歯になってしまうの?
さすがの智恵も驚いていたのである。

先生は、智恵に大きな口を開けるよう説明すると部分義歯の仮歯を
口元へ入れて試着を行う。
一旦取り外すと削りながら部分義歯の調整を行い再び試着。
智恵は、前歯まで人工歯が装着された入れ歯がとても大きく思えていた。
今までは奥歯だけで、義歯床も前歯の手前までしかなかったのである。
しかし今回の入れ歯は前歯も入れ歯になっているため、完全に上顎全体を
覆うような義歯床であり、ものすごい違和感だわ。
異物感は今までの部分義歯より更に大きいわ。
唇のすぐ内側まで部分入れ歯が入れられている智恵は、とてもショックな
思いであった。

噛みあわせ調整の為 何度か下の歯とカチカチと噛み締めて見ると、
音も当たる感じも完全に入れ歯である。 何となく入れ歯と差し歯って
音まで違うような気がするわ。 そんな智恵は、調整を終えると
衛生士の女性に大きな入れ歯を装着した状態での食事やブラッシング等の
説明や指導を受けると、慣れない入れ歯を入れた状態で診療室を後にする。
手鏡で口元を見ると、歯茎の部分が見えないと真っ白い人工歯が光っているわ。
不自然なくらいキレイに並べられた人工歯は、美しくも見える。
しかし 違和感がないわけでもなく、食事もちゃんと噛めるのかしら?
今まで以上に大きな部分義歯に智恵はとても不安を感じながら
診療室を後にしていたのであった。
# by rdsteens | 2012-05-27 10:12 | Trackback | Comments(0)

Page536~Chie's Denture & Treatment

智恵は、左上奥歯の抜歯後 入れられていた仮歯にものすごい
違和感とうっとうしい感覚を感じていた。
とにかく異物感がものすごいわ。 上あご全体を覆うような義歯床
そして、左右に固定されるバネ 人工歯の部分は感覚がよく分からない。
そして、部分義歯全体がものすごく大きいわ。
ブラッシングをするとき、取り外しても、こんなに大きな部分義歯が
仮歯なのね。こんな大きな入れ歯が入れられていたら、それは、
違和感も感じるしうっとうしいはずであった。
そして 食事の時にも、差し歯やブリッジの時は、歯の強度が
強くない事もあり、極端に固いものは噛まないように気をつけていた。
ということは、ある程度固いものでも、噛むつもりであれば、噛めるわ。
しかし、今 智恵が使っている部分義歯の仮歯では、固いものは、
よく噛めないわ。もちろん 固いといっても、差し歯やブリッジでは
普通に食べていたような食べ物である。
それでも、噛んでいる感覚もなく、安定感にも不安を感じていた。

仮歯ではなく、ちゃんとした部分義歯を使いこなしているゲストは、
結構なんでも食べている人もいるらしいわ。
多分 義歯もしっかり出来ている義歯であり、本人も使いこなして
いるのかも? 智恵はふと 噛みにくい奥歯の感触を感じると
そんな事を思ってしまうのであった。

そんな日々を送っていた智恵は、とある日の午前中 自室の洗面台で
歯を磨いていた。無論 部分義歯を取り外してである。
そして部分義歯も丁寧に磨き上げると、大きく口を開けて義歯を
口元へしっかりと固定する。 抜歯されている部分へ
ピンク色の義歯床そして白い人工歯が入れられている状態であった。
智恵は、支度をすると部屋を出て診療室へ向かう。
今日は、人影も少なく静かだわ。 外を見ると雨が少し降っている。
みんな部屋で過ごしているのかしら? 智恵はふとそんな事を
感じながら、歯科診療室のドアを開けると受付へ行く。
いつものように IDカードをスキャンされ受付を済ませると
暫く待合室で待っている。 そんな智恵に受付の女性が話しかけてきたのである。
部分義歯の仮歯を入れているゲストは、暫く使ってからアンケートに答えるらしい。
智恵はアンケートを受け取ると、ささっと 回答に答えていた。

そして智恵が呼ばれると、受付の女性にアンケート用紙を渡して
診療室へ入ってゆくのである。 診療台へ座り待っていると、
いつものように、衛生士の女性は 治療用の器具を準備して
カルテを持ってくる。先生も座って準備を行うと、エプロンがかけられる。
先生は、智恵の口元を覗きこむと 仮歯を外しますね。そう説明しながら
手で部分義歯を持つと、口元から取り外される。
智恵は 部分義歯を外されると、開放感のような感覚を感じながらも、
義歯を外され、歯が無くなってしまう不安感のようなものも感じていた。
いままでそんな不安は感じなかったんだけどなぁ と智恵は思っていたのである。

先生は、未だ治療を始めていない上顎前歯をデンタルミラーを使い検診を行う。
そして、智恵に今日から前歯の治療を始めます。 入れられている連結された
差し歯を取り除きますね。そう説明すると、先生はドリルの準備を行っていた。
そして、開口器をセットすると、セラミックの差し歯をドリルで削り始める。
大きな音をたてて、削り始めると少しずつ穴が開いてゆく。先生は、
縦方向へ亀裂を広げてゆくと、セラミック部分が削られ内側の金属が見えてくる。
先生は丁寧に1本ずつ 大きく亀裂を入れてゆく。
そして犬歯までの前歯すべてに大きな亀裂が入れられると、所々歯と歯の間の
連結されている部分をドリルで切断し、分割した状態で取り外してゆく。
大きな亀裂から人工歯を壊すように取り外されると、すでに美しい人工歯は
残骸のような状態になってしまう。

先生は土台が入れられている部分を検診してから、今日はこの左右の1番の歯
中切歯の抜歯を行います。智恵にそう説明を行うと、麻酔の注射を打たれ
しばらくしてから抜歯用の器具を使い、歯茎と根の間へ器具が入れられる。
土台の部分を揺らして行くと、ボロボロとかけてしまっているような
気がしていた智恵の口元へ、別の器具を使い 土台の部分を取り外して行く。
途中でかけてしまった根の部分はカンタンに外れてしまう。
先生は、残されている根の部分の欠片を丁寧に取り除いて抜歯するのであった。
智恵は、人工歯だけでなく、残されていた自分の根の部分もすでに、
残骸のような状態だわ。 虫歯で変色しカンタンに欠けてしまう。
そして、破片になってしまった状態で、取り除かれる。
虫歯になり治療を続けた歯の末路であった。結局こうなってしまい
抜歯して、人工歯を入れることになるのね。 智恵は今回の治療で
多くの歯の抜歯を繰り返ししていたこともあり、そんな事を感じていたのであった。

そして抜歯後のケアを行うと今日の治療は終わりと言われていた智恵は、
前歯は・・・ すべての差し歯を外され歯が無くなった状態である。
明日 仮歯を入れます。そう言われた智恵は さすがに今日は大変だわ。
とにかく前歯が無い状態である。 受付でマスクを貰うと、とりあえず
部屋まではマスクをしたまま 戻っていくしかないわね。
智恵はそんな事を感じながら、診療室を後にしていたのであった。
# by rdsteens | 2012-05-25 23:55 | Trackback | Comments(0)

Page535~Akiko's New Front Teeth

亜希子は相変わらず 仮歯での生活を送っていた。
前歯の印象をとってから、数日後 診療室に行っていた
亜希子は、新しい前歯の試着を行い調整をしていたのである。
その新しい歯はまだ 素焼きの状態であり、ツヤもなく、
色も真っ白い状態でいかにも人工物という感じでは
あったものの、確かに仮歯とは違い、しっかりと作られて
いるような気がするわ。
亜希子はふと、新しい歯を口元へセットしたときそんな事を
感じていたのであった。

そして、調整が終わると新しい歯を取り外し再び仮歯をセットされ
新しい歯は、色を亜希子のほかの歯と合わせて着色してから
焼き上げる作業を行うと聞かされていたのであった。
今日は、完成した新しい歯が いよいよ入れられる予定である。
現在の仮歯へ変えてから 前歯の大きさや噛みあわせは
すでにしっかりと調整されている。
新しい歯ではすでに、殆ど調整の必要も無い状態であり、
後は 天然歯と見分けが付かないような状態に仕上げるだけであった。

亜希子は、とある日の午後 シトシト降っている雨を窓越しに
見つめながら診療室へ向かう。
まだ診療室内では治療が行われているみたいだわ。
暫く待っていると、亜希子より少し年上の女性が診療室から
出てきたのであった。
亜希子がすぐに呼ばれると診療室へ入ってゆく。
治療の準備を衛生士が行い、技工物をテーブルへ置く。
これが私の新しい前歯かしら?
全額の歯列模型には、前歯の部分すべてにズラリと並べられた
人工歯が入れられているわ。
思っていたよりも、クリーム色が強く着色されているみたい。
かえって目立ってしまうんじゃないかしら?
亜希子は、もっと真っ白い人工歯を想像していただけに、
ちょっと不安を感じていたのである。

そして、先生が来ると検診を行い、亜希子の口元から
仮歯を取り外してゆく。
何箇所か少しずつ人工歯を浮かせながら、取り外すのである。
8本の歯が連結された差し歯は、かなり大きい仮歯である。
先生は土台を傷めないよう気をつけながら取り外すと、
大きな仮歯は、ポロッと外れていたのである。
先生は、土台の部分をきれいに磨き上げてゆく。
しっかりと治療された土台はキレイな状態に保たれている状態であった。
先生は、石膏模型から、前歯部分の新しい人工歯を丁寧に取り外すと
キレイに磨き上げる。
そして、亜希子へ見せると口元へ入れ ギュっと土台に合わせて試着を
行っていたのであった。
少しきついコンタクトである。 先生はしっかりと装着すると、噛みあわせや
隣の歯との状態をチェックする。

問題のない事を確認すると、先生は一旦 人工歯を取り外し、
接着剤を内側へしっかりと塗ると、再び口元へ入れ 土台に
合わせてギュっと押し込むように固定する。
先生は、試着の時以上に強い力でギュっと人工歯を押して
固定する。その後暫くの間 前歯を軽く噛みしめるよう言われ
亜希子は噛みしめていたのである。
数分後、口をあけた亜希子の口元から綿を取り出すと、
入れたばかりの前歯の人工歯をきれいに吹上げる。
そして、亜希子へ鏡で新しい歯を見せると亜希子は、えっ?と
思ってしまう。
あれほど クリーム色が強いと思っていた歯は、それでも他の歯よりも
わずかに白いわ。 歯茎が少し後退し、大きな土台を入れていた亜希子の
新しい人工歯は今まで入れていた前歯の差し歯よりも、少し大きく
感じていた。 実際には歯茎が後退したため、人工歯の長さが少し
長くなり後は連結部分のくぼみが違うだけであったものの、
亜希子はかなり印象が違う事を改めて感じていたのである。
噛みしめるとさすがに違和感はあるわ。
何しろ前歯から小臼歯までが連結された差し歯である。
新しい歯は、美しく見えるものの 弱い歯を多数連結している
差し歯は強度も強くないわ。 固いものを噛んでしまうと
土台が壊れそうだわ。それに 土台部分の虫歯にも
気をつけなければ、今回のようにボロボロになってしまう。
土台の状態を考えると、今度虫歯になってしまったら抜歯になってしまいそうな
歯も多い。
美しく見える前歯も、問題は少なくない状態であったのである。
亜希子は鏡で裏側を見ると 前歯4本の部分は金属部分が少なめなのね。
そして、小臼歯や犬歯の部分には、かなり大きな金属が入れられている。
しっかりと噛むのに必要な歯は、金属を多用し ある程度の強度を
確保する必要があったからである。
口を開けると、前歯よりも犬歯や小臼歯の金属のほうが目立つ事を
亜希子は確認すると、治療が終わり診療室を後にする。

慣れない前歯に亜希子は ついつい舌で前歯に触れてしまう。
表面もツルツルしているわ。 裏側は金属部分はやはりヌルヌルと
する感じではあったものの、前歯はセラミック部分が多いのね。
ふとそんな事を感じていた亜希子は、受付を済ませると、
診療室をあとにしていたのであった。
# by rdsteens | 2012-05-25 13:19 | Trackback | Comments(0)
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